SNSで小さな発信、はじめての一歩
お孫さんに教わって、写真や短い文章を発信してみる。同じ趣味の方とつながる楽しさは、暮らしを少し広げてくれます。
公開日: 2026年8月25日
「インスタグラム」「フェイスブック」「ツイッター」――テレビや新聞でよく耳にする横文字に、なんとなく敷居の高さを感じていらっしゃる方も多いかもしれません。けれど、最近では「インスタグランマ」と呼ばれる、SNSを楽しむシニアの方々が、世界中で話題になっています。お庭の花、台所のお料理、お散歩で出会った景色――そんな何気ない毎日の写真に、思いがけずたくさんの方が「いいね」を押してくれて、年齢を越えた交流が生まれているのです。今日は、SNSの世界に、ちいさな一歩を踏み出してみたい方への、やさしい入り口のお話をご紹介します。
「見るだけ」から始めても十分
SNSというと「発信しなければ」と身構えてしまいがちですが、実はまず「見るだけ」から始めても十分楽しめます。お孫さんが投稿しているお写真をのぞいたり、お気に入りの俳優さんや歌手の方の日々を眺めたり、同じ年代の方が綴る日記を読んだり――それだけでも、毎日のちょっとした楽しみが増えます。スマホがすでにあれば、新しい道具を買う必要もなく、無料で始められるのがSNSの良いところです。
始める時には、ぜひお子さんやお孫さんに「アカウントを作るのを手伝ってくれない?」と頼んでみてください。最初の登録さえできれば、あとは少しずつ操作に慣れていくだけです。お孫さんに教えてもらうこと自体が、世代を越えた会話のきっかけになります。「おばあちゃん、これすごい!」「もうそんなことできるの?」――そんなやりとりが、お互いの距離をぐっと近づけてくれるはずです。
SNSをはじめる時に、覚えておきたい五つのコツをまとめました。
- 最初はお孫さんやご家族にアカウント作成を手伝ってもらう
- 個人情報(住所、電話番号、本名)はプロフィールに書かない
- 「見るだけ」から始めて、慣れたら一枚の写真を投稿してみる
- 見ず知らずの方からの友達申請は、急いで承認しない
- コメントは短くていい、「素敵ですね」のひと言から
一日一枚の写真と、ひと言の文章
投稿してみよう、と思い立った時におすすめなのが、「一日一枚の写真と、ひと言の文章」を発信するスタイルです。難しいことを書く必要はありません。今日の朝ごはん、庭で咲いた花、窓から見える空、お散歩で出会ったねこ――その時に「いいな」と感じたものをぱちりと撮って、「今朝のお味噌汁です」「あじさいが咲きました」と、ひと言そえて投稿する。それだけで、立派なSNSの発信になります。
むしろ、シニア世代の何気ない日常の一枚は、若い方々の目にとても新鮮に映るものです。手の込んだお料理、季節のしつらえ、年月をかけて育てたお庭の植物――どれも、若い世代がなかなか持ち合わせていない豊かさです。「いいね」が一つ、二つ、十と増えていく嬉しさは、年齢を重ねた今だからこそ、しみじみと味わえるもの。海外の見知らぬ方から「ビューティフル!」とコメントが届くこともあるかもしれません。世界が一気に広がる、新しい喜びです。
ご縁を楽しみつつ、安全にもひと心配り
SNSの楽しさが分かってくると、知らない方ともコメントを通じて交流が広がっていきます。同じ趣味の方、同じ年代の方、遠くに住む同じ郷里の方――思いがけない「ご縁」が結ばれることが、SNSの最大の魅力かもしれません。けれど一方で、なかには気をつけたい相手も混ざっていることがあります。親身に話しかけてきて、いつの間にかお金の話に持ち込もうとする「ロマンス詐欺」や、投資話を持ちかけてくる詐欺の手口も、近年増えていると言われています。
安全に楽しむために、いくつか覚えておきたい目安があります。会ったことのない相手とは、お金の話には決して乗らない。本名や住所、銀行口座などの個人情報は、プロフィールにも、メッセージにも書かない。「会いに行きます」「会いに来てください」と急かす相手とは距離を置く。少しでも「あれ?」と感じたら、ご家族にすぐ相談する――こうした基本を守るだけで、SNSは安全な楽しい場所になります。何かおかしいと感じたら、消費生活センター(局番なし188)へ電話で相談することもできます。今日、お孫さんに「ねえ、インスタグラムって、どうやって始めるの?」と尋ねてみる――そのちいさな一歩から、新しい毎日が始まるかもしれません。SNSは、年齢を問わず、世界中の人々とつながれる魔法のような道具。難しく考えず、まずは見るだけから、気軽に覗いてみてください。
自分に合ったSNSを、ひとつずつ
「SNS」とひと口に言っても、実はいくつかの種類があります。それぞれに特徴があるので、ご自分に合ったものを一つ選んで、ゆっくり慣れていくのがおすすめです。たとえば、写真を中心に楽しむなら「インスタグラム」、文章での交流が好きなら「フェイスブック」、短いメッセージで日々のつぶやきを楽しむなら「X(旧ツイッター)」――それぞれに違った趣があります。すべてに手を出すのではなく、まずは一つを選んで深く楽しむ方が、長く続きます。
シニア世代に特に人気なのが、写真と相性のよい「インスタグラム」と、同窓会のような懐かしい交流が生まれる「フェイスブック」の二つだと言われます。インスタグラムは、お庭の花、お料理、旅先の景色などを共有するのにぴったり。フェイスブックは、実名で登録するので、昔のお知り合いと再会することも珍しくありません。「あの頃の同級生がフェイスブックで見つかったの」と、ご友人と話が弾むきっかけにもなります。気になるSNSがあれば、お子さんやお孫さんに「これってどんなもの?」と尋ねて、特徴を教えてもらってから決めるのも安心です。
アカウントを作る時には、お名前を本名にするか、ニックネームにするかも、ゆっくり考えてみてください。フェイスブックは原則として実名ですが、インスタグラムやXではニックネームでも構いません。お庭仕事を中心に発信するなら「○○のガーデン日記」、お料理を中心にするなら「キッチン縁側」――そんな自分らしいお名前を考えるのも、楽しい時間です。プロフィール写真も、お顔をはっきり出すのに抵抗があれば、お庭の花の写真や、ペットの後ろ姿で代えることもできます。無理せず、ご自分のペースで安心して始められる工夫を、いくつでも取り入れて構いません。
「ハッシュタグ」というしくみについても、少し触れておきましょう。投稿のなかに「#」マークから始まるキーワードを入れると、同じ趣味の方の目に届きやすくなる仕組みです。たとえば「#朝顔」「#庭の花」「#手作り和菓子」――そんなふうに、ご自分の投稿に合うキーワードをひとつふたつ添えるだけで、思いがけない出会いが生まれます。最初は意味が分からなくても、お孫さんに「これって何?」と尋ねればすぐに分かります。慣れてくると、自分の趣味に合うハッシュタグを探すこと自体が、新しい楽しみになっていきます。
投稿が続いていくと、ふとした出会いから、リアルの友人ができることもあります。同じ趣味のサークルに誘われたり、同じ年代の方と文通のような交流が始まったり――SNSは、決して画面の中だけで完結する世界ではありません。きっかけはささやかな一枚の写真。そこから、これまで知らなかった世界が広がっていく可能性を秘めています。年齢を理由に新しいことを諦める必要はありません。むしろ、今までの人生で培ってきた豊かな感性こそが、SNSの世界では何よりの宝物。ご自分のペースで、ゆっくりとはじめてみてください。