ラジオがそばにあるくらし
テレビとは違う、声だけのあたたかさ。家事をしながら、寝る前のひとときに楽しめる番組の選び方です。
公開日: 2026年6月15日
テレビの画面を見続けると、ちょっと目が疲れる。動画を眺めるのも、続けると首がこわばる。そんな時、ラジオがそばにあると、不思議と心がほどけてきます。声だけが流れてくるラジオの世界には、テレビにはない独特のあたたかさがあります。台所仕事をしながら、お茶を飲みながら、お布団に入る前に。ご一緒に過ごしてくれるラジオの選び方を、ゆるやかにお話ししたいと思います。
ラジオは「ながら」の名人
ラジオの何よりのよさは、「ながら」が許されることです。テレビは画面を見ないと内容がわかりませんが、ラジオは耳だけで楽しめる。だから、お皿を洗いながら、お洗濯ものをたたみながら、ベランダの植木に水をやりながら――手元の作業を止めなくても、楽しめます。
とくに、おひとりで暮らしていらっしゃる方には、ラジオから流れてくる人の声が、ふしぎなあたたかさになります。誰かが家のなかで話している、そんな空気があるだけで、お部屋がしんと静まりかえることがありません。お料理を作りながら相づちを打ったり、笑い声に思わずつられたり――無理におしゃべりの相手をしてもらわなくても、声がそばにあるだけで安心するものです。
「ながら」で楽しめるラジオ番組は、こんな場面にぴったりです。
- 朝ごはんの準備をしながら、ニュースと天気予報
- お洗濯ものを干しながら、軽い音楽番組
- お昼ごはんを食べながら、お笑い番組やトーク番組
- 夕方の家事のあいだに、人生相談や落語
- 寝る前のひととき、しずかな音楽番組
テレビとちがって、画面に縛られないので、ご自分の手仕事のリズムを止めずに楽しめるのがいいところです。
ラジオの楽しみ方、いろいろ
ひとことに「ラジオ」と言っても、楽しみ方はさまざまです。むかしながらの小さな置きラジオもあれば、テレビにつながっているもの、スマートフォンで聴けるアプリもあります。
手軽さでいちばんおすすめは、やはり昔ながらの「ラジオ受信機」です。電池やコンセントを使う小型のもので、台所や寝室に一台置いておけば、ボタンひとつで音が出る。耳の遠い方も音量を大きめにできるので、安心して使えます。電気店やホームセンターで、二、三千円から手に入るものもあります。
もし、お孫さんやお子さんからスマートフォンを教わっているのなら、「radiko(ラジコ)」というアプリも便利です。お住まいの地域だけでなく、月額のサービスに加入すれば、全国のラジオ番組が聴けます。雪国の冬の話、九州の方言のトーク、北海道の自然の音――家にいながら、日本中を旅するような楽しみ方ができます。
また、テレビが受信機のなかでラジオも聴けるタイプであることをご存知でしょうか。BSやCSの番組欄を見ると、音楽専門のラジオチャンネルがいくつもあります。テレビをつけて、画面を消して音だけ聴くという方法もあります。
寝る前のラジオ、しずかな夜のお供
ラジオがいちばん心地よく感じられる時間は、夜、お布団に入ってからかもしれません。テレビの画面の強い光は寝つきに影響するとも言われていますが、ラジオの声だけなら、目を閉じたまま楽しめます。
夜のラジオには、しずかな音楽番組、人生相談、深夜のおしゃべり、落語、朗読――いろいろな種類があります。眠れない夜には、誰かの声を聞いているだけで、不思議と気持ちがほぐれていくものです。最初から最後まで聴かなくてもいい。途中で眠ってしまっても、それでいいのです。タイマー機能を使えば、三十分後や一時間後に自動で消えるよう設定もできます。
また、地震や台風で停電になったとき、ラジオは何より頼りになる情報源です。電池式の小型ラジオを一台、防災袋のなかに入れておくと安心。ふだんからお気に入りの番組で聴き慣れていれば、いざという時もすぐに使えます。
- 夜のしずかな音楽番組や朗読は、寝る前のお供に
- タイマー機能で、寝てしまっても自動で消える
- 電池式の小型ラジオは、防災のお守りにもなる
- ご近所の防災無線も、ラジオ受信機で聞こえることが
- 停電のときの情報源として、いちばん頼れる
「テレビは疲れる、でも何か音はほしい」――そんな夜こそ、ラジオの出番です。
ラジオがそばにあるくらしは、にぎやかでもなければ、さみしくもない、ちょうどよい温度の時間をくれます。誰かの話し声、知らない街の話題、季節の音楽――それらが、ご自分の暮らしのリズムにそっと寄り添ってくれる。台所の片隅に、寝室のテーブルに、一台ぜひ。スイッチをひねって流れてくる声に、新しい毎日のお友達が見つかるかもしれません。
むかしは、家族みんなで一台のラジオを囲んで聴いた時代もありました。野球中継、紅白歌合戦、朝の連続ドラマ。耳から入る情報を、家族で同じように楽しんでいた、あの時間を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。いまは一人で聴く時間が増えたとしても、ラジオの向こうには、同じ番組を聴いている誰かが必ずいます。そう思うだけで、暮らしのなかに、ささやかなつながりが生まれてきます。