道の駅めぐり、車のなかでつかれない工夫
地元の野菜、温泉、そば屋さん。道の駅は小さな旅の宝箱です。何時間も座っても疲れにくい、休憩のリズムをお伝えします。
公開日: 2026年8月10日
ドライブ旅の途中で立ち寄る「道の駅」――最近では、その土地ならではの野菜や名物、足湯や温泉、お蕎麦屋さんまでそろう、まるで小さな観光地のような場所が全国に増えてきました。新鮮な野菜が安く買える喜びはもちろん、長距離の運転途中の休憩場所としても、シニア世代の旅にはとてもありがたい存在です。けれども、長時間車に乗っていると、思いのほか体に疲れがたまるもの。今日は、道の駅をうまく活用しながら、車のなかでもつかれにくく旅を楽しむための、ちいさな工夫のお話をお届けします。
一時間半ごとに、必ず一度は降りる
長時間のドライブで、体に疲れがたまるいちばんの原因は、同じ姿勢で座り続けることです。エコノミークラス症候群という言葉を、テレビなどで耳にされたことがあるかもしれません。これは、長い時間ずっと足を動かさずにいると、足の血管に小さなかたまりができ、それが体に悪さをすることがある、というお話です。健康な方でも、二時間以上同じ姿勢を続けると、足のむくみや腰の痛みを感じやすくなります。
そこでおすすめなのが、「一時間半ごとに必ず一度、車から降りる」というリズムを決めてしまうことです。たとえ眠くなくても、お手洗いに行きたくなくても、必ず降りて、五分か十分だけでいいので足を動かす。これだけで、その後の体の楽さがまったく変わってきます。道の駅は、休憩のための施設として、ちょうどよい間隔で道路沿いに点在していますから、ドライブのルートに合わせて立ち寄り先を決めておくと、自然とリズムが整います。
道の駅で過ごす時間を、もっと楽しくする工夫
道の駅でのひとときは、ただの「お休み」ではなく、その土地ならではの楽しみを味わうチャンスでもあります。地元の農家さんが朝に持ち込んだ野菜や果物、その土地でしか手に入らないお菓子やお漬物、地元産のお米や蜂蜜――旅の思い出として家に持ち帰れる小さな宝物が、いっぱい並んでいます。スーパーで買うのと違って、商品にはたいてい生産者さんのお名前まで書かれていますから、「○○さんが作ったきゅうり」を選ぶのも、ささやかな楽しみのひとつです。
車内で疲れず、道の駅を存分に楽しむためのちいさな工夫をまとめました。
- 出発前に、ルート上の道の駅を二、三か所、目星をつけておく
- 一時間半ごとに必ず降りて、五分間は足を動かす
- 車内では、こまめに水分をとる(脱水とむくみの予防に)
- 道の駅では、買い物よりまず体をほぐすことを優先する
- 重い荷物にならないよう、買うのは帰り道を中心にする
足湯・温泉・農家レストランで、ゆっくり過ごす
最近の道の駅は、ただの売店だけにとどまりません。「足湯」のあるところ、「日帰り温泉」が併設されているところ、地元の食材を使った「農家レストラン」のあるところ――立派な観光スポットとして整った場所も、年々増えてきています。一日のドライブのうち、一か所だけは「ゆっくり過ごす道の駅」と決めて、そこで一時間以上のんびりするのもおすすめです。
足湯につかれば、ドライブで疲れたふくらはぎがすっとほぐれますし、ベンチに座ってお茶を飲むだけでも、気分はずいぶん変わってきます。地元のお蕎麦やうどんを一杯いただくのも、旅のだいご味です。お会計の前に、店員さんに「このあたりのおすすめはありますか」と尋ねてみると、観光地図には載っていない、地元の方ならではの場所を教えてもらえることもあります。ちょっとしたひと言から、思いがけない出会いが広がるのも、道の駅旅の楽しみのひとつです。
全国の道の駅の中には、車中泊を歓迎してくれる場所も増えています。一泊で帰るには遠い場所に出かけるとき、宿泊費を気にせず、好きな道の駅で夜を過ごす――そんな新しい旅のかたちも、シニア世代に少しずつ広がっています。とはいえ、車中泊にはマナーがあります。ゴミは必ず持ち帰る、エンジンをかけっぱなしにしない、長時間の連泊は控える――こうしたちょっとした心づかいが、これからも道の駅を気持ちよく使い続けるために大切です。慣れない車中泊が不安な方は、まずは近くの道の駅まで日帰りで足を運び、夜の雰囲気だけ確かめに行ってみる――そんな段階を踏むのもおすすめです。地元の温泉で体を温めて帰る道々、車窓に流れる夕焼けは、それだけで胸に残る一日の景色になります。
ご夫婦やご友人と出かける時は、お互いに「疲れた」と早めに口に出すことも大切です。「もう少し走れる」と無理をしすぎると、後半に響いてしまいます。道の駅は、休むための場所であると同時に、土地と人に出会うための場所でもあります。急がず、欲張らず、お一人お一人のペースに合わせて、ゆったり巡る――そんな旅が、道の駅めぐりにはいちばん似合います。今度のお休みに、お住まいの近くの道の駅を地図で探してみる、というところから始めてみませんか。ハンドルを握る方も、助手席に座る方も、車内でひと息つきながらの会話そのものが、すでに小さな旅の始まりです。地元の野菜と土地の物語を両手に抱えて、ゆっくりお家に戻る夕暮れ――それは、何泊もの旅にも負けない、満ち足りた一日の終わりになるはずです。