固定費の見直し、電気・ガス・通信から
毎月決まって出ていく固定費は、一度整えると長く効きます。電気・ガス・通信の三つを、それぞれどう見直すか。あわてず比べるための入り口をご紹介します。
公開日: 2026年9月13日
毎月の家計をふり返ってみると、食費や日用品のように増えたり減ったりするお金もあれば、決まった日に決まった額が引き落とされる「固定費」もあります。電気代、ガス代、水道代、電話やインターネットの通信費――こうした固定費は、毎月さほど意識せずに支払っているものですが、一度しっかり見直すと、月々数千円、年間にすれば数万円も家計が楽になることがあります。一度の手間で長く効くのが、固定費見直しのよいところです。今日は、なかでも見直しの効果が出やすい「電気・ガス・通信」の三つについて、あわてず比べるための入り口をお話しします。
まずは「いま、いくら払っているか」を一覧に
固定費を見直すための第一歩は、「いま、いくら払っているか」をちゃんと把握することです。毎月の請求書や通帳の引き落としを、一枚の紙にすべて書き出してみてください。電気代、ガス代、水道代、固定電話、スマートフォン、インターネット、有料テレビ――こうしたものの月額を、ひとつずつ並べていきます。年に一回や二回しか引き落とされない料金(NHK受信料や年払いの保険料など)も、月割りにして書き加えると、より正確な見通しが立ちます。
書き出してみると、「あら、こんなにかかっていたのね」と気づくものがあります。逆に、「これくらいなら見直さなくても」と思える項目もあります。すべてを一気に変える必要はありません。「これは大きいな」と感じた一つから、ゆっくり見直していきましょう。お子さん家族やお孫さんに、いまの請求書を見せながら相談してみるのもおすすめです。一人で抱え込まずに、家族と一緒に考えると、新しい気づきが生まれることもあります。
電気とガス、自由化を活用して比べる
数年前から、電気とガスの会社は自由に選べるようになりました。長年同じ会社のままだという方も、いま一度、ほかの会社のプランを比べてみる価値があります。インターネットの比較サイトを利用すれば、ご自宅の使用量を入れるだけで、安くなりそうな会社の候補を見せてくれます。スマートフォンの操作が難しい場合は、お子さん家族やお孫さんに手伝ってもらいながら、一緒に比べてみるのもいいですね。
ただし、新しい会社に切り替える時は、いくつか気をつけたいことがあります。安いプランほど契約期間の縛りが長かったり、解約金が発生したりすることもあります。怪しい電話勧誘や訪問販売には十分に気をつけ、必ずご自分でホームページや窓口を確かめてから契約するようにしましょう。「いますぐ決めてください」と急かされる会社は、避けたほうが安心です。
通信費は、いちばん見直し効果が大きい
三つの固定費のなかで、いちばん大きな見直し効果が出やすいのが、実はスマートフォンの料金と、インターネット回線です。大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)で長年使っている方は、月々のスマホ料金が八千円〜一万円ほどになっていることもあります。これを、いわゆる「格安スマホ」と呼ばれる別の会社に切り替えると、月々二千円〜三千円ほどに下がることがあります。
通信費の見直しで覚えておきたいポイントをまとめました。
- いまの月額料金とデータ通信量を、明細書で確認する
- 家のなかで Wi-Fi を使うなら、スマホのデータ通信量は少なくて済む
- 電話を多くかける方は、かけ放題プランの有無を要チェック
- 店舗のあるサポートが手厚い会社を選ぶと、設定変更も安心
- ご家族と同じ会社にまとめると、家族割引が効くこともある
固定電話を使う頻度が減っているなら、光電話やインターネット回線とのセットに切り替えるという選択肢もあります。固定電話を完全になくすのは少し心細い、という方には、月々のコストを抑えた最低限のプランに変えるという方法もあります。お住まいの地域の電器店や、大手キャリアのショップに足を運んで、「いまの使い方で、もっと安くなる方法はありますか」と相談してみるのが、いちばん安心な進め方です。
保険料とサブスク、見落としがちな「眠れる固定費」
電気・ガス・通信に並んで、見直しの効果が大きい固定費がもう一つあります。それが「保険料」です。若い頃に加入したまま、何十年もそのままになっている生命保険や医療保険はありませんか。お子さんが独立し、お住まいのローンも完済された今では、当時必要だった保障の額が、いまの生活には合っていない可能性があります。保険の代理店や、保険会社の窓口で「いまの自分に必要な保障を、もう一度ご相談したい」と伝えると、丁寧に整理してくれます。
もう一つ、最近気をつけたいのが、いわゆる「サブスクリプション」と呼ばれる月額制のサービスです。動画配信、音楽配信、ジムの会費、雑誌の定期購読、新聞のオンライン契約――気がついたら、月々の引き落としが何件にも増えていることがあります。スマートフォンの請求書をよく見てみると、知らないうちに加入していたサービスが含まれていることも。お孫さんやお子さん家族に手伝ってもらって、「いま自分が払っているサブスクは何か」を一度すべて書き出してみると、思わぬ発見があるかもしれません。
水道料金や下水道料金についても、お住まいの自治体によっては節水機器の助成制度がある場合があります。節水コマや節水シャワーヘッドへの交換で、月々の水道代を抑えることができます。また、お住まいの自治体の窓口に「シニア向けの料金割引はありますか」と聞いてみると、思いがけない減免制度を教えてもらえることもあります。電力会社や通信会社のシニア割引も同様で、「うちは関係ないから」と諦めずに、まずは聞いてみる――この一歩から、家計のゆとりが生まれてきます。お住まいの市役所や町役場の窓口で「高齢者向けの料金支援」を尋ねるだけでも、新しい発見があるはずです。
見直しの順番として、おすすめは「金額の大きいものから」始めることです。月々五千円の保険料を四千円にできれば、年間で一万二千円のゆとり。月々一万円のスマホ代を六千円にできれば、年間で四万八千円。こうして並べてみると、「思ったよりも大きな差が生まれる」ことに気づかれるはずです。とはいえ、急いで全てを切り替える必要はありません。一年かけて一つずつ、ゆっくり整えていくくらいの気持ちで取り組むのが、長続きするコツです。途中で「やっぱり元のままでよかった」と感じる項目があれば、戻せばいいのです。家計の見直しは、ご自分の暮らしを大切にするための作業ですから、無理せず、ご自分のペースで進めていただけたらと思います。
固定費の見直しは、最初の一回は少し手間に感じるかもしれませんが、一度整えると、その後は毎月自動的に節約効果が積み重なっていきます。電気・ガス・通信、そして保険とサブスクリプション――こうしたものから順番に、無理のない範囲で少しずつ整えてみてはいかがでしょうか。残ったお家計のゆとりは、お孫さんへのお祝い、ご友人とのお食事、ささやかな旅行など、心が豊かになる使い方にまわせます。お一人で抱え込まず、ご家族や信頼できる窓口と一緒に、ゆっくり見直していけたらいいですね。家計は、一度全体を眺めるだけで、ぐっと見通しがよくなるもの。「あ、これは見直そう」「これは大切にしておきたい」――そんな判断ができるのは、長く暮らしを切り盛りしてきたご自分の知恵があってこそ。これからも、ご自分らしい家計の整え方を、ゆっくり見つけていけたらいいですね。