かかりつけ医、もうひとりいると安心
いつもの先生に加えて、歯医者さんや眼科の「もう一人のかかりつけ」を持つと、暮らしの安心がぐっと広がります。
公開日: 2026年7月13日
近所の内科の先生は、長くお世話になっていて顔なじみ――そんなかかりつけのお医者さんがいらっしゃる方は多いと思います。安心して話を聞いてもらえる関係は、それだけで何よりの財産です。けれども、体のことは内科だけでは完結しません。歯のこと、目のこと、耳のこと――年齢を重ねるごとに気がかりの種類は少しずつ増えていきます。今日は、内科のかかりつけに加えて、もうひとり、ふたり、頼れる先生を持つことの安心についてお話しします。
「歯」「目」「耳」それぞれにかかりつけを
ご自身のからだのなかで、特に気をつけたいのが、歯と目と耳。この三つは、年齢とともにゆるやかに変化していくため、定期的に診てくださる先生がいると本当に心強いものです。歯科では、ふだんの歯ぐきの状態を把握してくれていれば、わずかな変化にも気づいてもらえます。眼科は、白内障や緑内障のような気づきにくい目の病気を、早めに見つける入り口にもなります。耳鼻科は、聞こえにくさだけでなく、めまいやのみこみのちょっとした違和感にも、相談先になります。
三つ全部に通うのは大変、と思われるかもしれません。けれども、それぞれを「年に一度、健康診断のように立ち寄る場所」と考えると、ぐっと気軽になります。痛くなってから行くのではなく、調子のよい時期にこそ顔を出しておく――それが、長く心地よくつきあうコツです。
ご自宅から近い、というのは何よりの条件ですが、それと同じくらい大切なのが「先生やスタッフとの相性」です。説明がわかりやすいか、こちらの不安にもしっかり耳をかたむけてくれるか、待合室の雰囲気は穏やかか――こうした「居心地のよさ」は、長く通う場所にこそ欠かせない要素です。一度行ってみて、なんとなく合わないと感じたら、別の医院を試してみるのも、自分のからだを大切にするひとつの方法です。お薬の副作用や、検査結果の見方など、ふだんの何気ない不安を気軽に持ちこめる――そんなお医者さまが見つかれば、ご自身の暮らしの安心感はぐっと深まります。
もうひとりのかかりつけを選ぶときに、心がけたいことをまとめました。
- 通いやすい距離――徒歩か、バスひと駅で行けるところを
- 受付や看護師さんの雰囲気が、自分にあっているか
- 話をさえぎらず、最後まで聞いてくれるか
- 予約のしかたが、電話だけでもできるか
- ご近所さんの評判も、ひとつのものさしに
ご相談ごとは、メモにして持っていく
お医者さんの前に座ると、聞きたかったことが頭から飛んでしまう――そんな経験はありませんか。緊張や時間の制約のなかで、ちょうどよく話すのは、誰でも難しいものです。そこでおすすめしたいのが、診察の前に簡単なメモをつくっておくこと。気になる症状はいつから、どんなときに、どれくらいの強さで――この三つを箇条書きで書いておくだけで、先生もこちらも、ぐっと話が早くなります。
お薬手帳をいつも持ち歩くのも、複数の先生にかかるときには大切な準備です。歯医者さんで治療を受ける際にも、内科で出ているお薬の情報がわかると、安全に治療を進めてもらえます。「いつも持ち歩いてください」と言われたら、そのとおりにする――それだけで、もしもの時の安心がぐっと変わります。
つながった先生たちが、ひとつの「チーム」になる
理想は、それぞれの先生がご自身のからだ全体を見渡してくださることです。最近では、お薬手帳の写真をスマホで送るだけで、別のクリニックの先生にも情報が伝わるしくみもあります。一人で多くの先生にかかると、ご自身が情報をつなぐ「ハブ」のような役割になることもあります。難しく考える必要はありませんが、「あちらでこんなお薬が出ています」「目のお医者さんではこんな話がありました」と、ひとことそえるだけで、医療の質はぐっと変わります。
もうひとつ大切なのが、夜間や休日に体調が悪くなったときの連絡先です。かかりつけのクリニックがお休みの曜日や時間帯に、何かあったらどこに連絡すればよいか――。これも、元気なうちに確かめておきたいことのひとつです。多くの市区町村には、休日や夜間の急患相談窓口があり、電話で症状を伝えると、適切な医療機関を案内してくれます。冷蔵庫のとびらに、緊急連絡先を書いた紙を貼っておくと、ご家族にもわかりやすく、いざという時にあわてずに済みます。
もうひとりのかかりつけ――それは、もしもの時の保険のような存在です。今は何ともなくても、未来の自分に贈っておくささやかなプレゼント。健診のついでに、ご近所のクリニックの扉をいちど開いてみる――そんな夏のひとときから、はじめてみるのもいいですね。年に一度、決まった季節に立ち寄る「顔なじみの場所」が、暮らしのなかにひとつふたつあるだけで、毎日の安心感はゆっくり、確かに育っていくのです。健康なときの病院通いは、なんだか少しもったいない気もしますが、それこそが「予防」というおおきな投資なのだと思います。