ぶどう狩り・りんご狩り、秋の味覚を摘む
もぎたての果物を、その場で味わうたのしみ。山梨、長野、青森――産地で出会う旬の甘さは格別です。バリアフリーの果樹園選びもご紹介します。
公開日: 2026年9月9日
秋の風がさわやかに吹き始める九月の終わりから十月にかけて、果物が美味しい季節を迎えます。お店で買って食べる果物ももちろん美味しいのですが、本場の産地に出かけて、樹からもぎたての一粒、一個を味わう――そんな体験には、何ものにも代えがたい喜びがあります。今日は、シニア世代の方にぜひおすすめしたい、ぶどう狩り・りんご狩りの楽しみ方について、ゆっくりお話ししてみたいと思います。
どこで・いつ・何を狩る? 秋の果物の名産地
ぶどうの名産地として知られているのは、山梨県、長野県、岡山県などです。とくに山梨県は「ぶどう王国」とも呼ばれ、甲府盆地のあたりには、たくさんのぶどう農園が点在しています。八月の終わりから十月にかけて、デラウェア、巨峰、ピオーネ、シャインマスカット――時期ごとに違う品種を狩ることができ、品種ごとに違う甘さや香りを楽しめます。長野県も負けず劣らずのぶどう産地で、ナガノパープルやクイーンルージュなど、地元ならではの新品種にも出会えます。
りんごの名産地と言えば、なんといっても青森県、長野県、福島県、岩手県。九月から十一月にかけて、つがる、紅玉、シナノスイート、ふじ――次々に違う品種が旬を迎えていきます。早めの時期は爽やかな酸味のりんご、終盤に向かうにつれて、深い甘さのりんごへと移っていく――そんな味わいの変化も、産地で狩るからこそ感じられる楽しみです。日帰りで行きやすいのは、東京から特急で二時間以内の山梨や、新幹線で一時間半ほどの長野。お住まいの地域から行きやすい産地を選ぶと、移動の負担も抑えられます。
ぶどう狩り・りんご狩りで覚えておきたいポイントをまとめました。
- 事前予約が必要な果樹園が多い、当日飛び込みは避ける
- 歩きやすい靴と、汚れてもよい服装で
- 陽射し対策に帽子、水分補給のお茶を持参
- 農園内のトイレの場所を、入園時に確認しておく
- 持ち帰り分は宅配で送る手配を活用、手荷物を増やさない
シニアにやさしい果樹園の選び方
近頃の果樹園は、お年寄りやお身体の不自由な方にもやさしい設備を整えているところが増えてきました。坂のない平らな場所、車椅子でも入れる広い通路、ベンチや休憩所が用意されている場所――こうしたバリアフリー対応の果樹園も、最近は珍しくありません。事前に農園のホームページや観光協会の案内を見て、「バリアフリー対応」「シニア歓迎」と書かれているところを選ぶのがおすすめです。
また、ぶどうの果樹園のなかには、棚仕立てといって、ぶどうがちょうど手の届く高さに広がるように仕立てられているところがあります。背伸びせずに、目線の少し上にぶら下がっているぶどうを、はさみでぱちんと切り落とす――この高さは、シニアの方でも腰に負担をかけずに収穫できる嬉しい配慮です。一方、りんご狩りは、品種によっては樹の上の方の実を取ることになりますが、お住まいの果樹園では「低い枝の品種」を選ばせてくれるところも多いです。「足腰がちょっと心配で」と相談すれば、農園の方が一緒に取りやすい場所まで案内してくれます。
もぎたての味わいは、一年に一度のごちそう
実際に果樹園に着いたら、まずは農園の方の説明をよく聞きます。どのあたりから収穫してよいか、何個まで摘んでよいか、食べ放題か持ち帰り別かなど、基本のルールを確認します。それから、いよいよ収穫開始。ぶどうなら、しっかり実が詰まっていて、軸が緑色のものを選ぶのがコツ。りんごなら、軽くひねって、ぽろりと取れるものが食べごろです。
もぎたての一粒、一個を、その場で口に運んだ時の感動――これは、産地に来ないと絶対に味わえないものです。冷蔵庫で冷えていなくても、太陽の光をたっぷり浴びた果物は、温かいまま、ぎゅっと甘さが詰まっています。「これがほんとうのぶどう・りんごの味なのね」――そんな発見が、毎回あるはずです。お孫さんと一緒に行けば、「すごい、こんなに甘いの初めて!」と大喜びしてくれる姿が見られて、世代を超えた楽しい思い出になります。
狩った果物のお土産、宅配で身軽に
ぶどう狩りでも、りんご狩りでも、持ち帰り用の果物を箱詰めして買えるところがほとんどです。「家族に分けたい」「お友達にお裾分けしたい」とつい欲張ってしまいたくなりますが、ここで気をつけたいのが、荷物の重さです。ぶどう一房も、りんご一個も、見た目以上に重く、何キロも手に持って電車で帰るのはひと苦労になります。
おすすめなのは、宅配サービスの活用です。果樹園で「これを自宅まで送ってもらえますか」とお願いすれば、たいていの農園が宅配の手配をしてくれます。送料はかかりますが、重いものを持ち歩く負担と疲れを考えれば、十分に元が取れます。お土産用は宅配で、自分で食べる分だけ手に持つ――そんな身軽な分け方が、シニア世代の旅にはぴったりです。お孫さんやお子さん家族へは、それぞれの家まで直接送ってもらえば、現地から届く新鮮さも喜ばれます。
果樹園めぐりと合わせて、地元の道の駅や直売所に立ち寄るのも、秋の旅の楽しみのひとつです。果物以外にも、地元のお野菜、お米、おみそ、お漬物――その土地ならではの食材に出会えます。「これ、家に帰って食べたいな」と思う一品があったら、思い切って買ってみる。お土産の宅配と一緒に送ってもらえることもあります。秋の小旅行は、味覚で土地を覚える、そんな旅でもあります。来年の秋には「あの果樹園、もう一度行きたいね」と話題になるような、心に残るおでかけになりますよう、無理のないペースで、ゆったりと楽しんでみてください。
バスツアーで気軽に、団体旅行のすすめ
「果樹園まで自家用車で行くのは大変」「電車を乗り継ぐのも、ちょっと不安」という方には、ぶどう狩りやりんご狩りの日帰りバスツアーがおすすめです。旅行会社が企画している秋のバスツアーには、果樹園での果物狩りと、温泉、お食事、お土産屋さんめぐりがセットになったプランがたくさん用意されています。一人で運転する必要がなく、添乗員の方が案内してくれる安心感は、シニア世代の方にぴったりです。
バスツアーを選ぶ時のコツは、歩く距離が短いコース、トイレ休憩がこまめに入るコース、お食事の場所がしっかりしているコースを選ぶこと。お住まいの近くにある旅行代理店で、シニア向けのプランを案内してくれます。新聞の広告やテレビショッピングで紹介されているプランも、検討の入り口にはなりますが、申し込む前に必ず日程、含まれるサービス、キャンセル料の条件をしっかり確認しておくのが安心です。ご友人と一緒に参加するのも楽しいですし、お一人参加歓迎のツアーもたくさんあります。新しい出会いがあるのも、団体旅行の魅力のひとつ。秋の一日を、果物のおいしさとともに、ゆったり過ごしてみてはいかがでしょうか。
秋の果物狩りは、ぶどう・りんご以外にも、なし、柿、いちじく、栗、さつまいも掘りなど、選択肢がたくさんあります。お住まいの地域から日帰りで行ける範囲で、いろいろな種類の収穫体験ができるはずです。果樹園のホームページや、地域の観光協会の案内をのぞいてみると、思いがけない発見があるかもしれません。「今年はぶどう、来年はりんご、再来年は梨」――そんなふうに、毎年違う果物の旬を訪ね歩くのも、秋ならではのおでかけの楽しみです。秋の味覚を、ご自分の手で摘み取った時の喜びは、ご年齢にかかわらず、いつまでも色褪せません。