雨の日に読みたい一冊の本
外出がおっくうな雨の日こそ、本との時間が深まります。最近の図書館の使い方と、おすすめのジャンルをご紹介します。
公開日: 2026年6月6日
梅雨の入り口、雨の音を聞きながら過ごす日が増えてきました。外に出るのもおっくうな雨の午後、お茶を一杯入れて、ぱらりと本のページをめくる――そんなしずかな時間は、年を重ねた私たちにこそ似合うひとときです。今日は、雨の日にゆっくり読みたい本のジャンルと、最近の図書館の使い方について、ご紹介してみたいと思います。
雨の日の読書、どんなジャンルがよいか
雨の日の読書は、晴れの日とは少し違う、しずかな空気のなかで進みます。明るく元気な本もよいのですが、雨の音と相性がよいのは、すこしじんわりと心に沁みる、ゆったりした本です。たとえば、随筆。たとえば、ご自身と近い世代の作家の小説。たとえば、季節を映した俳句や短歌の本。一気に読み終わらなくてもよく、すこしずつページを進めていく――そんな本が、雨の日には心地よく寄り添ってくれます。
雨の日におすすめしたいジャンルを、いくつか並べてみました。お好みに合いそうなものから、ぜひ手にとってみてください。
- 幸田文・向田邦子・須賀敦子の随筆
- 椎名誠・群ようこ・佐藤愛子のエッセイ
- 藤沢周平・池波正太郎の時代小説
- 宮本輝・宮尾登美子の長編小説
- 司馬遼太郎の歴史読み物
- 俳句・短歌の入門書や、歳時記
もちろん、これら以外にも、たくさんの素敵な作家さんがいらっしゃいます。図書館の司書さんや、本屋さんの店員さんに「雨の日に読みたい一冊を」と相談してみると、思わぬ良書に出会えるかもしれません。
最近の図書館は、こんなに便利になりました
「最近、本屋さんに行っていないし、図書館にも長らく…」とおっしゃる方も多いかもしれません。けれど、最近の図書館は、ずいぶん変わっています。以前のような古いイメージではなく、明るく広く、椅子もゆったり、エレベーターも整い、お手洗いもきれいなところが増えています。
本だけでなく、新聞や雑誌、CD、DVDまで借りられる図書館も少なくありません。インターネットで蔵書を検索して、ご自宅近くの図書館に取り寄せてくれるサービスも、いまや一般的になってきました。お住まいの市区町村の図書館のサイトを一度のぞいてみると、便利な機能がたくさん見つかるはずです。
また、図書館の多くは入館無料ですし、貸出冊数も五冊から十冊、貸出期間も二週間から三週間と、ゆったりしています。雨の日でも、雪の日でも、暑い日でも、空調が効いた図書館は、心地よい「避難所」にもなります。
図書館の最近の便利な機能を、いくつか挙げてみます。
- ネット予約サービス、検索から取り寄せまで
- 大活字本のコーナー、文字が大きくて読みやすい
- 朗読CD、目を休めながら本を「聞く」
- 新聞のバックナンバー、過去の出来事を調べる
- シニア向け健康講座や朗読会の開催
- 雑誌コーナー、最新号から半年前まで
大活字本というのは、お年寄り向けに文字を大きく印刷した本のことです。一冊が分厚く、何冊にも分かれていることが多いですが、目が疲れにくく、寝る前の読書にもおすすめです。
読書の楽しみは、誰かと分かちあう楽しみでもある
本を読むことは、もちろんご自分一人で味わえる豊かな時間ですが、誰かと分かちあうと、また違う味わいが加わります。お友達と「この本、よかったわよ」と貸し借りをする、お孫さんに自分の好きだった本を一冊プレゼントする、地元の図書館の読書会に参加してみる――。
最近では、図書館や公民館で開かれる読書会も増えてきました。月に一度、決まったテーマや一冊の本について、参加者みんなで感想を語り合う集まりです。ひとりで読むだけでは気づかなかった視点に出会えたり、新しいお友達ができたり、楽しみが何倍にも広がります。
また、ご家族との会話のきっかけにもなります。ご主人や奥さまに「いまこんな本を読んでいるのよ」とひとこと話すだけで、二人のあいだに新しい話題が生まれます。離れて暮らすお子さんやお孫さんに、「最近読んだ本」を電話やLINEで伝えるのも、ささやかな近況報告になります。
雨の日の読書は、急がずに、ゆっくりと。ページを進めることが目的ではなく、本のなかの世界に少しずつ浸って、お茶の時間と一緒に味わう――そんな読み方が、年を重ねた私たちには似合います。「今日は十ページだけ」「今日はあとひと章だけ」――そんなふうに、ご自分のペースで進めていけば、一冊の本がじっくりと心に届いてくれます。手元にあるお気に入りの本を、もう一度ひらいてみるのも、また違うよろこびがあります。若い頃に読んだ本を、年を重ねてから読み返すと、不思議と違うところで胸が熱くなる――そんな経験が、これからの読書には待っています。雨の音と、お茶の香りと、紙のページの匂い。三つそろえば、もう何もいらない、しずかな午後のはじまりです。今日もしっぽりと、本との時間をお過ごしください。一冊の本と過ごした午後は、いつまでも心のなかに、しずかな余韻を残してくれるはずです。雨の日が続く梅雨のあいだ、お気に入りの一冊と出会えることが、何よりの季節の贈りものになります。