困った時の頼り方、自分のなかの三人を決めておく
わからない時にすぐ聞ける人を、あらかじめ三人決めておく。家族・知人・公式窓口。安心してスマホを使い続けるための心づもりです。
公開日: 2026年11月17日
スマートフォンというのは、便利ではありますけれど、ほんとうに困った瞬間に「あら、これどうしたらいいのかしら」と立ち止まってしまうことが、しょっちゅうありますね。画面に見慣れない警告が出てきた、ボタンを押したら別の画面に切り替わってしまった、急に文字が変な大きさになった、メールが届いて開いてみたら覚えのない請求書だった――そんな小さな「困った」が、毎週のように起きるのが、スマホとの暮らしです。きょうは、そういう時に「すぐに聞ける人」を、お元気なうちに「自分のなかの三人」として決めておく、というお話をいたします。困ってから探すのでは遅いのです。あらかじめ、「最初はこの人、次はこの人、それでもダメなら公式の窓口」と、心の中に三人の頼り先を持っておく。たったそれだけのことで、いざという時の不安が、ぐんと小さくなります。スマホとうまく付き合うのに、一番大切なのは、操作の上達ではなく、頼り上手になることなのです。
ひとり目――身近な家族か、近しいご友人
三人のうち、いちばん最初に頼るべき相手は、なんといってもいちばん身近で、すぐに連絡がつく方です。同居されているご夫婦なら、まずはお互いに。お一人暮らしなら、近くにお住まいのお子さんや、毎日のように顔を合わせているお仲間――そういった「気軽に聞ける相手」を、最初の一人と決めておきましょう。
ポイントは、「気軽に」聞ける関係であるということです。「忙しいかしら」「こんなことを聞いたら呆れられないかしら」と気をつかってしまうと、結局聞けずに、ひとりで悩み続けてしまいます。そうならないために、できればあらかじめ「もしスマホでわからないことがあったら、聞いてもいいかしら」と、一度はっきりとお伝えしておくのがおすすめです。「もちろん、いつでも聞いてね」――そんな返事が一度あると、その後の心理的なハードルがぐっと下がります。あとから「教えてくれてありがとう、助かったわ」とひと言伝えるのも、お互いの関係を温かく保つコツです。
とくにお子さんやお孫さんは、ふだんから新しい機種に慣れていて、スマホの操作をぱっと教えてくれる頼もしい味方です。「電話だと細かい操作が伝わりにくいから、LINEのビデオ通話で画面を見せながら教えて」とお願いするのもよい方法。お互いの画面が見えれば、どこを押せばいいかを指さしながら教えてもらえます。お孫さんはこういう「先生役」を喜ぶことが多いですから、遠慮せずに頼っていただいて大丈夫です。
ふたり目――同年代の頼れる知人か、お店の方
ふたり目の頼り先は、できれば「同じくらいの年代で、スマホを使いこなしている方」がおすすめです。年が近いと、こちらの「わからなさ」をよく理解してくださり、若い人だと当たり前すぎて言葉にしないような細かな手順まで、ていねいに教えてくださいます。「あ、私も最初はそこでつまずいたわよ」――そんな共感のひと言だけでも、心がふっと軽くなります。
- 趣味のサークル仲間で、すこし操作が上手な方
- 町内会やコミュニティーの「スマホ教室」の参加者
- デイサービスのスタッフさん――くわしい方が常駐している場合も
- 携帯ショップのカウンター(予約制で丁寧に対応してもらえる)
- 家電量販店の店員さん――買い物のついでに気軽に質問
また、お住まいの近くにある「携帯ショップ」も、頼れる二人目の候補になります。docomo、au、ソフトバンク、楽天モバイル――ご契約の会社の店舗に、ご予約のうえお出かけになると、初心者向けにじっくり相談に乗ってくださることが多いものです。お一人で行くのが心細ければ、お知り合いと一緒に出かけて、お互いに学ぶというのもよいでしょう。お店によっては、シニア向けのスマホ教室を、無料または安価で開催してくださる場合もあります。
もうひとつ、お住まいの市区町村が運営する「スマホ相談会」や「シニア向けデジタル講座」も、近年とても増えています。広報誌や町内の掲示板にお知らせが載っていることが多いので、目にされたら一度参加してみるのもおすすめです。同じくらいの年代の方が集まって、お互いに教え合いながら学ぶ場は、お友達づくりにもなり、一石二鳥のひとときになります。
三人目――公式の窓口、いざという時の最後の砦
そして、もっとも大切な三人目が「公式の窓口」です。家族や知人ではどうにも答えが出ない時、あるいは「これは大ごとかもしれない」と感じた時――迷わずこちらに連絡をすること、それが安心への近道です。
ご自分のスマホをご契約の通信会社(docomo、au、ソフトバンクなど)には、必ず「お客様センター」のような電話窓口があります。スマホの背面や、契約書、月々の請求書などに番号が書かれていますから、その番号を、お電話帳の「お気に入り」や、紙のメモに大きく書いて、すぐに見えるところに貼っておきましょう。とくに、不審なメールの開封後、覚えのない請求が来た時など、「これは詐欺かも」と感じる場面では、通信会社や、消費者ホットライン(全国共通の電話番号 188)に電話することで、専門の方が丁寧に対処を教えてくださいます。
「いやだわ、もう面倒だから家族にしか聞かないわ」と思われるかもしれません。けれど、家族にも答えられないことは、案外多いのです。たとえば、契約に関わる細かな手続き、料金プランの変更、機種変更にかかわる費用の精算、不正利用の疑いがある時の対応――こうしたことは、通信会社の公式窓口に直接おかけになるのが、いちばん早く、いちばん正確です。慣れない自動音声に少し戸惑うかもしれませんが、根気よく「オペレーター」を選ぶボタンを押し続けて、人の声が聞こえたら、ゆっくりとお話なさってください。「うちの孫がお手数おかけしますが」などと丁寧な前置きは要りません。「○○のことで困っているのです」――それだけで十分です。
三人の頼り先を決めて、できれば紙のメモに名前と電話番号を書きとめて、お財布や電話帳のいちばん最初のページに貼っておきましょう。「最初は息子に電話、次にスマホ教室の田中さん、それでもダメなら○○○○-○○○○の通信会社のお客様センター」――そんなメモが一枚あるだけで、いざという時の動きがすっとスムーズになります。
もうひとつ、ぜひ覚えておいていただきたいのは、「不安を感じたら、まず操作をやめる」ということです。「あれ、なんだか変だな」と思った瞬間、慌てて画面のボタンを押し続けるのは禁物です。意図しないアプリのインストールや、不要な契約につながってしまうことがあります。一度スマホを伏せて置いて、深呼吸をして、お茶を一杯飲んでから、三人のだれかに電話する――そんなゆとりが、いちばんの安全策なのです。スマホは「すぐ反応しなくちゃ」と急かしてくるように見えますが、本当は何時間後でも、翌日でも、たいていのことは間に合います。
お年を重ねますと、新しい技術に慣れるのは、若いころとくらべて少しゆっくりになります。けれど、慣れる必要はないのです。「ここまでは自分でやる、これ以上はあの人に聞く」――そんな線引きを、はじめから持っておくこと。それこそが、スマホと長く穏やかに付き合っていく、いちばん賢い知恵なのです。あらかじめ三人を決めておく――それは、スマホだけのことではなく、これからの暮らしぜんたいを、いっとう安心して過ごすための、温かな心づもりでもあります。