アプリを入れる前に、ちょっと立ち止まる
便利そうだから、無料だから、と勧められても急いで入れなくて大丈夫。安心のために確かめたい三つのポイントをまとめました。
公開日: 2026年10月28日
スマホを使っていると、「このアプリを入れると便利ですよ」「無料でダウンロードできます」と勧められる場面が、思いのほか多いものです。お孫さんに「これ入れておいたほうがいいよ」と言われたり、テレビのコマーシャルで流れていたり、ニュースサイトの広告に表示されたり――気がつくと、スマホのなかにたくさんのアプリが並んでいる、なんてことになりかねません。アプリを入れること自体は悪いことではありませんが、急いで入れる必要はぜんぜんないのです。むしろ、入れる前に「ちょっと立ち止まる」というひと呼吸が、安心して長くスマホを使い続けるためのいちばん大切な習慣になります。きょうは、アプリを入れる前に確かめたい、三つのやさしいポイントをご紹介いたします。
そもそも「アプリ」って何のこと?
まず、「アプリ」という言葉に少し馴染みがない方のために、簡単にお話ししておきましょう。アプリというのは、「アプリケーション」の略で、スマホのなかで動く小さなプログラムのことです。たとえば、地図を見るためのアプリ、電車の時刻を調べるアプリ、写真を撮るアプリ、お買い物をするアプリ、新聞を読むアプリ――それぞれが、ひとつひとつ別のアプリとして、スマホのなかに住んでいるイメージです。
スマホには、買ったときからもともと入っているアプリと、あとから自分で「追加する」アプリの二種類があります。後から追加するときには、iPhone なら「App Store(アップストア)」、Android なら「Google Play(グーグルプレイ)」というお店のような場所からダウンロード(取り入れること)します。多くのアプリは無料で取り入れることができるので、つい「無料なら入れておこう」と思いがちですが、そこにこそ、ちょっと立ち止まりたい理由があるのです。
入れる前に確かめたい、三つのポイント
アプリを入れる前に、心のなかで自分にこう問いかけてみてください。それだけで、不要なアプリや、危ないアプリを入れずにすむことが、ぐっと増えます。
- ひとつめ――本当に、いま私に必要かしら?
- ふたつめ――誰が作ったアプリかしら?(配信元の確認)
- みっつめ――どんな情報を取りに行くと言っているかしら?(権限の確認)
ひとつめは、「本当に、いま私に必要かしら?」という問いかけです。アプリは、入れれば入れるほどスマホの動きが重くなりますし、画面もごちゃごちゃしてきます。それに、たくさん入っているほど、「どこに何があるかわからない」という混乱のもとになります。「便利そうだから」「お孫さんに勧められたから」だけで入れるのではなく、「私がふだんの暮らしで、これを使う場面が本当にあるかしら?」と、少し冷静に考えてみる。
たとえば、お料理レシピのアプリを勧められたとしても、ふだんから決まったレシピでお料理されている方には、要らないかもしれません。逆に、新しいお料理にも挑戦したい方には、毎日見るアプリになるかもしれない。要不要は、人それぞれ違うものです。「みんなが入れているから」ではなく、「私の暮らしに合うか」――この物差しで考えると、無駄なアプリが減ります。
「誰が作ったアプリか」を確かめる
ふたつめのポイントは、「誰が作ったアプリか」、つまり「配信元」を確かめることです。これは、安全のためにとても大切なことです。
正規の「App Store」や「Google Play」で配信されているアプリは、ある程度の審査を経てから店頭に並んでいます。けれども、世界中の誰でも、ある程度の手続きを踏めばアプリを配信できますから、なかには信頼性の低いものや、知らないうちに個人情報を集めるものも紛れています。とくに、銀行や郵便局を装った偽のアプリ、有名なゲームに似せた偽物のアプリには、注意が必要です。
配信元の名前は、アプリのダウンロード画面に必ず表示されています。たとえば「LINE株式会社」「ヤフー株式会社」「マイクロソフト」など、ご存じの大手企業の名前なら、まず安心です。一方で、聞いたことのない海外の会社名や、不自然なカタカナの並びになっている場合は、念のためお孫さんやご家族に確認してから入れる、というのがおすすめです。「インストール」ボタンを押す前に、画面を上から下まで、ゆっくり目を通してみる――そのひと呼吸が、トラブルを防ぐいちばんの予防になります。
もうひとつの目安として、「レビュー(口コミ)の星の数と件数」を見てみるのもよい方法です。星五つに近い評価で、しかも何千件、何万件と評価がついているアプリは、多くの方がすでに使って満足しているということ。逆に、評価が極端に少なかったり、低かったりするものは、用心するのが賢明です。むずかしく考えず、「大勢の人が選んでいるものを選ぶ」という考え方で十分です。
「権限」――アプリが何を見たがっているか
みっつめのポイントは、「権限」のお話です。これも少し聞きなれない言葉かもしれませんが、要するに「このアプリは、あなたのスマホのなかの、どんな情報や機能にさわりますよ」ということを、入れるときに必ず表示してくれるのです。
たとえば、地図のアプリなら「位置情報」を見たい、と言ってきます。これは当然ですよね、いまどこにいるかを使って地図を表示するためです。カメラのアプリなら「カメラ機能」を使いたい、と言ってきます。これもうなずけます。けれど、たとえば、ただの懐中電灯アプリのはずなのに「連絡先を全部見たい」「位置情報を常に取りたい」「マイクで音を聞きたい」と言ってくる場合は、明らかに変です。
アプリを入れるときに、「○○へのアクセスを許可しますか?」という問いかけが出てきたら、「これって、このアプリに本当に必要なものかしら?」と一度立ち止まる。連絡先、位置情報、写真、マイク――こういった大切な情報へのアクセスを求めるアプリには、とくに注意が必要です。よくわからないときは、いったん「許可しない」を選んでおいて、使ってみて支障があれば後から許可することもできます。最初から全部許可してしまうと、知らないうちに、自分の情報があちこちに渡ってしまうこともあるのです。
「困った時に頼れる人」を決めておく
三つのポイントをお話ししましたが、それでも「これって入れていいのかしら?」と迷う場面は、必ず出てきます。そんな時に、すぐに頼れる人を、あらかじめ三人くらい決めておくことを、強くおすすめいたします。
ひとり目は、ご家族のなかでスマホに詳しい方――お子さんやお孫さん、お甥っ子さんお姪っ子さんでもよいでしょう。ふたり目は、近所のお友達や、地域のサークルでスマホ教室に通っていらっしゃる方。三人目は、お住まいの自治体やキャリアショップで開かれているスマホ相談窓口です。最近では、無料で気軽に相談に乗ってくれるサービスも増えていますし、シニア向けのスマホ教室を定期的に開いているところもあります。
「ひとりで判断しない」――これがいちばんの心がけです。お子さんやお孫さんに「これ、入れていいかしら?」とLINEで写真を送って聞くだけでも、十分です。「忙しいだろうから悪いわね」と遠慮されることもあるでしょうが、お子さんやお孫さんにとっては、「お母さん(おばあちゃん)が、ちゃんと用心して相談してくれた」というだけで、ほっとされるものです。あとから「変なアプリを入れてトラブルになった」と言うよりも、はるかにご家族の安心につながります。
スマホはとても便利な道具ですが、便利になればなるほど、知らないあいだに自分の情報が外に渡るリスクも増えてまいります。「便利さ」と「安心」は、両方そろってこそ本物の暮らしの味方です。アプリを入れる前のひと呼吸、配信元と権限のさりげない確認、そして頼れる人への気軽な相談――この三つの心がけで、これからもずっと、スマホとよい関係を続けていけます。あわてず、いそがず、無理せず――それが、お年を重ねてからスマホとつきあう、いちばんやさしい流儀なのです。今日も、新しいアプリを勧められたら、まず深呼吸。「本当に必要かしら?」と、にっこり問いかけてみてください。きっと、それだけで、毎日の暮らしの安心が、ぐっと深くなっていくはずです。